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「厄除け詩集」井伏鱒二 講談社学芸文庫

近代の小説家、井伏鱒二の唯一の詩集です。小説が書けなくなったときの厄除けに書いた詩群で、それで、「厄除け詩集」とつけたと言っていますが、その内容から見ても、井伏が詩人としても抜群の素質の持ち主であったことを窺わせます。漢詩を現代語訳した詩「この盃を承けてくれ、どうぞなみなみ注がせておくれ、花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生だ」などは、みんなをあっと言わせたもので、当の漢詩よりも柔軟で豊かな感情の動きを持った名詩になっています。井伏は小説家と呼ばれるよりも詩人と呼ばれることを好んだそうです。分量は決して多くありませんが、優れた作家による一流の詩集と言っていいでしょう。