Hideのおすすめ本とエッセイと絵と詩等のブログ

おすすめ本やエッセイ、絵、自作詩などを載せていきたいと思っています。

「ポケットに名言を」寺山修司 角川文庫

一時代前に、一世を風靡した小さな名言集です。撰者のかんがえとしては、こうした簡便な本から、引用された文章を読んで、当の本を読んだ気になるのは、どうかとは思いますが。この本から、さらに孫引きされた言葉が、一人歩きしている感がありますので、一言しておきたいと思います。この本には、寺山の意訳がかなりあります。「文化の仕掛人」として、マンガの登場人物の葬式を真面目に執り行ったという経歴が示す通り、日本文化というものに対して、ある種の屈折した思いを抱かずには、いられなかった人でした。名言のアンソロジーというアイディアには見るべきものがありますが、その言葉まで、まるごと鵜呑みにしてしまうのは危険というものでしょう。一昔前の日本人の屈折した感情を理解し、その引用された本もそれなりに読んだ上でなら、有益な書物と言えるでしょう。その意味では、時代というものを強く感じさせる書物です。


人物画「ランボー」鉛筆画

一般的に、あまり顔と名が知られた人ではありませんが、
フランス象徴派に区分けされている詩人、「アルチュール・ランボー」の若い頃の写真からの模写です。ランボーには写真がわずかしか残っていません。


わたしの敬愛する小林秀雄の影響もあり、学生時代、目まいのするような難解な,、けれどもところどころ強く輝く詩に、圧倒されるようにして心酔したものでした。


わずか、20才で世界の頂点に達する詩を書き上げ、そのまま自分の詩とヨーロッパを捨
て、砂漠に飛び立ち、最後は37才で行商人として亡くなった男です。詩人として驚嘆するほど無邪気で、まっすぐな、現代詩の扉を開いた男です。
わたしは「空前絶後の男」と思っています。


最近、改めて、その肖像が描きたくなり、描いてみました。やはり、2015年に描いたものです。若い男の人物画は初めてでした。

自作詩 同時代

見知らぬ人と視線を交わし
命の重さをはかってみる


そのあなた達のたましいの
なんと軽くて重いことよ


同じ時代に生まれたことで
しばらく時を分かち合っている


そんな日の夕暮れにあなた達は
ロウソクのようにわたしの前を通り過ぎる


こんなにしんしん切ないなんて 
どうやらわたしは夢を見ている
またいつか会える日が来るのなら
ぼくらはどんな顔して会うのだろう


結び合った糸が他の糸を求め
ふたたびほぐれて風に靡くように
ぼくらはそのようにぼくらの旅を続けるだろう


バスが来た


あなた達のまなざしは一瞬燃え吹き消されるようにして閉じた
差し出された手は冷たかった


いつか孤独な眠りから覚めたなら
よろしく
心をわかち合おう
深くて浅いわれらの時代の夢を
ともに語るために

「半自叙伝」菊池寛 講談社学術文庫

菊池寛の残した唯一の自伝ですが、題名の通り、自分の子どもの頃のしかも「万引き」をしていた自分の悪さを中心に書いた破格の半自叙伝です。作者の良いところは、まるでと言っていいくらい出て来ません。写実的に描かれた子どもの頃の悪事は、作者の鋭敏な心情をずいぶん傷付けたに違いないのですが、読者には「万引き」をした子どもだからと言って、将来性のない奴だと他のそうした子どもたちのことを思ってくれるなと言うばかりです。異常なほどの無私の魂です。