Hideのおすすめ本とエッセイと絵と詩等のブログ

おすすめ本やエッセイ、絵、自作詩などを載せていきたいと思っています。

「人さまざま」テオプラストス  岩波文庫

古代ギリシアの賢人、テオプラストスによる性格論です。巻頭の人物には、「空とぼけ」をして、言ってみれば、自分で自身を欺いて、利益を得ようとする人間が描かれています。性格でも、悪い性格の人間は、テオプラストスによってほぼすべて描き出されている感があります。では、良い性格の人間はとなるとテオプラストスは書く必要を認めなかったようです。本書は、数時間あれば読み通せるほど短いものですが、何回読んでも新しい発見のある、人間についての興味の尽きない滋味溢れる性格論になっています。古代ギリシアの時代の人々も、国は違い時代が違っても、われわれの周りの人々と何ら変わるところがないことが本書によって知られます。


「厄除け詩集」井伏鱒二 講談社学芸文庫

近代の小説家、井伏鱒二の唯一の詩集です。小説が書けなくなったときの厄除けに書いた詩群で、それで、「厄除け詩集」とつけたと言っていますが、その内容から見ても、井伏が詩人としても抜群の素質の持ち主であったことを窺わせます。漢詩を現代語訳した詩「この盃を承けてくれ、どうぞなみなみ注がせておくれ、花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生だ」などは、みんなをあっと言わせたもので、当の漢詩よりも柔軟で豊かな感情の動きを持った名詩になっています。井伏は小説家と呼ばれるよりも詩人と呼ばれることを好んだそうです。分量は決して多くありませんが、優れた作家による一流の詩集と言っていいでしょう。


水彩画「ズアオアトリ」

2015年に描いた水彩画です。
これは、気持ちよく描けました。
一番下の葉っぱの赤い2つの点が、ミソです。


語学が堪能な友人によると、「ズアオアトリ」が正式名称だそうなので、「ド」を「ト」と濁らない名前に変えました。


「海に霧」寺山修司 集英社文庫

演劇の世界で活躍した著者は、短詩型もよくしました。この本はその寺山の短歌俳句集です。題名の由来となった「マッチする束の間海に霧深し身すつるほどの祖国はありや」の歌も収められています。終戦直後の日本人の複雑な心境が読み込まれていると言っていいでしょう。寺山の詩歌は音楽的で独特の韻律を持ったものです。東北の山村で、性格の強い、感情の起伏の激しい母の圧倒的な影響の下に育てられた寺山は、その荒々しい母の影を一生涯背負って生きた詩人でした。「時には母のない子のように、黙って空を見つめていたい。」の詩句は、歌謡曲にもなりました。「誰か故郷を思わざる」の人々に愛唱された詩句もあります。当代を代表する詩人でした。