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おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「武士道」おすすめ本 <含蓄に富んだ言葉>

著者の新渡戸稲造は、元五千円札の肖像になっていた人物です。新渡戸は明治期、国際的に活躍した日本を代表する人物のひとりです。日本の精神文化を海外に紹介することに尽力し、「武士道」はその活動の中から生まれた国際的な評価を得た書物です。


海外の人に向けて書かれたために、原文は英文になっています。「武士道」は、一言では説明のつかない言葉です。これは、日本語の特徴として豊かなふくみを持った言葉であることによります。


「武士道」は男性的な言葉ですが、表面には気ぶりにもあらわさずに、相手のことを深くおもいやるという女性的な心の動きさえその中に入ります。これは、日本古来の「やまとごころ」「やまとだましい」という言葉とも相通じるものです。


新渡戸は、みずからが、学んだ西洋の書物から豊富な例文を引用し、「武士道」を西洋人にも理解できるようにと言葉を尽くして解き明かそうとします。そうしたとき、重要になってくるのは論理であるよりも、むしろ情緒であり感情です。美しい心情を内に秘めた「武士道」をなんとか全身で感じとってほしいと新渡戸は願っています。またそれは、「武士道」と疎遠になったわれわれ現代の日本人にも向けられた願いであるようにも思えます。


しかし、「武士道」についての端的な観念は得られません。キリスト教は、端的に「Love」「愛」と一言で要約しうる言葉をもっていますが、それと違い、「武士道」はもともと、そうした観念に収まりきらない言葉だからです。