Sekiの本と詩とエッセイのブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

ラディゲ「ドルジェル伯の舞踏会」 <夭折の天才>

この小説については、すでに小林秀雄の名評があります。「破壊にのみ適した諸運動が、突如として合成され、一挙にして形を得た。」評自体が、すでに抽象語による詩になっている感があります。


ダイヤモンド・カットのように切り出された恋愛心理の動きは、明晰に屈折しながら、また彫りの深い陰影に富み、作者ラディゲが二十歳という若さで死んだ事実を、忘れてしまいそうなほど磨かれきっています。フランス恋愛小説の真髄の一つと言っていい傑作です。