Sekiの本と詩とエッセイのブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

自作詩 <K310>に寄せて

運命であるか
わたしを遠くへ連れ去ろうとするものは
過去を振り返ろうとは思わない
わたしはあんまり出鱈目な道を歩いてきたから
それが生きるに値する
物語であるなら
過去は自らを自らの言葉で語り始めるだろう


町の灯が雨に滲む
バスは濡れている


病んだ心を抱えていることが
わたしを前へ進ませるのか
空きカンが外灯に光る
徒らな光に迷うことも一つの生になり得るのか


夜は病み
町の眠りは浅い


天井には黄ばんだ染みが一つ
歪な波紋を描くように
それは
どんな歳月を経て来たのだろうか


止み間のない雨音が
心の縁に当たり
そうして
イ短調のピアノ曲のように
染みていく


暗闇の地底を流れる地下水に
微粒子が衝突し
ほんとうにかすかな青白い光を発するように


アスファルトのその黒い路面は
何を映し出してくれるのだろうか


寝返りを打つ体を
雨音が包む
夢はまだ深い


わたしはわたしの迷いを信じよう