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おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「時間と自由」ベルクソン

原題は「意識に直接与えられたものについての試論」という長い題です。ベルクソンは、われわれが日常感覚として持っている当たり前な自由感から決して離れません。自由が哲学者の間でどう論議の対象となろうが、この自由感からものを考えようとします。ベルクソン自身が、わたしは実在論も観念論も行き過ぎていると感じた。わたしは常識の見解をとった。そのためにわたしの著作は難解なものにならざるを得なかったと語っています。時間に関する考察は、凡百の哲学書を越えた明解、明晰なものです。ゼノンの逆説を援用し、事象を時間の継起によって区分する理性の通例の方法による欠陥を指摘して見せます。ベルクソンは直観と生の哲学者と呼ばれていますが、作品に横溢する明晰な知性は単なる哲学史上の区分を越えています。真の古典と呼ぶにふさわしい読む者に痛切な感情を体験させる美しい希有の哲学書です。