Sekiの本と詩とエッセイのブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「土佐日記」紀貫之

「男もすなる日記というものを女もしてみむとてするなり」という有名な書き出しで始まる紀貫之の日記文学です。紀貫之の「貫之」という名前は、「論語」の「我が道は一を以て之を貫く」からとられています。日本を代表する詩歌集、古今和歌集の随一の歌人の名前がそうですから、日本とは、実に不思議な伝統を持った国であることを感じさせずにはいません。この「土佐日記」も、本当は男が書いたのに、女の筆によるものとしている不思議な入り組んだ構造を持たせているもので、日本文学独特の複雑な相貌を呈しています。ですが、作品は日本文学に多く見られる敬語の頻出の少ないもので、現代のわれわれにはたいへん読み易い古典となっています。