Hideの本とエッセイと詩のブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「意志と表象としての世界」ショーペンハウアー

ニーチェの師匠に当たる、ドイツの哲学者の主著です。ニーチェ自身は、この人の書いた本の第一行目を読むや、あらゆるページのあらゆる言葉を謹聴せずにはいられない読者であったと書いています。この書は、東洋哲学、特に仏教の華厳経の影響が顕著です。滝のように流れて止まない現象の非情性とそこに虹のように掛かる本質のイメージの美しい様相は、日本の華厳の滝そのものです。ショーペンハウアーの文章はたいへん読み易いもので、彼自身、重大なことを平易な文章で表すことこそ偉大なのだと言っています。ショーペンハウアーの言葉には「意味」に対して強力な腐食剤として作用するところがあります。「~に過ぎない」と多用される言い方にそれが端的に表れています。「意志」とは「神の意志」の「神の」を取り払った言葉と考えていいでしょう。類い稀な名文家によって書かれた第一級の哲学書です。弁証法を哲学の根幹に据えたヘーゲル哲学に真っ向から異を唱えた哲学者でもありました。