Hideの本とエッセイと詩のブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「国家篇」プラトン 岩波文庫

ソクラテスの口から哲人政治が語られる雄篇です。じつに激しい議論のやりとりがあります。政治を担うのは哲人こそふさわしい。それも、進んでではなく嫌々ながらするのだというプラトンの政治思想が語られます。この対話篇には「エルの物語」という挿話が入っています。死後の世界を見たエルの話が語られるのですが、良い行いをした者は天国へ、悪い行いをした者は地獄へここまではよくある話ですが、その天国から出てきた者の多くは、真理について本当によく吟味をしてきた者ではなく、また、良い目に遇ってうかうかしているものですから、次の自分の人生を選ぶとき、目も当てられない選び方をしてしまう。地獄から出てきた者は、勢い慎重になって良い人生を選ぶというように、おおよそ人生が入れ替わってしまうという話になっています。また、忘れ川のレーテで水を飲み、どの人生を選んだかの忘れてしまうので、どの人もじつは自分が選んだ人生を生きているのだと言うのです。これは、現代のわれわれの人生にも通じるような忘れがたい挿話です。