Sekiの本と詩とエッセイのブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「文明論之概略」福沢諭吉 岩波文庫

福沢諭吉の思想の本領が発揮された本です。福沢自身が、雅俗混交体と名付けた俗語も豊富に取り入れたこれまでにない名文になっています。「文明論之概略」には、緒言があります。この未曾有の混乱期を、我が身をそのまま実験台にして「一身にして二生を経る好機」とする人間と、頭だけを切り換えたかに見える奇怪な「両頭」人間とを区別します。そして、彼我の文明を相照すとき、我が国の文明の論は正確たらざるを得ずと自賛します。福沢の楽観主義にはしっかりした精神上の裏打ちがあります。平気で自分を実験台にする実証精神の持ち主であり、現実の俗悪で軽薄な諸相から決して目を逸らさぬリアリストでした。