Hideの本とエッセイと詩のブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「女の一生」モーパッサン 新潮文庫

モーパッサンの作品中、もっとも有名な小説です。ある平凡な貴族の娘の平凡な一生が、鮮やかに活写されます。ここにも、著者は特に優れた人物は一人も描いていません。モーパッサンの作品では、自身を題材にしたいくつかの小説を例外として、著者自身ほとんど顔を出すことはありません。この小説の最後で、ある平凡な女の語る言葉はつとに有名です。「人生というのは、人が考えるほど良くもなければ悪くもないものですよ。」我々はここからどのような人生上の観照点を見出すことは不当でしょう。そんなことは、そもそも著者のモーパッサン自身が行っていないのですから。不思議な名著です。