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「白痴」ドストエフスキー 岩波文庫

「罪と罰」を書き終えた著者が、「無条件に美しい人間」を書こうと筆を執ったのがこの小説です。「キリスト公爵」と呼ばれるムイシュキン公爵がその人ですが、不思議なことに「あなたはキリスト教徒か」と問われ、ムイシュキンは黙っています。人々を途方に暮れさせるようなムイシュキンの純潔さには、ある形容し難い奥行きがあって、人々は、彼に胸襟を開き、誰にも言えなかった心の内を打ち明けます。人を惹き付けて止まないムイシュキンという男はいったい何者か。人間性という謎がこれほど裸形になった小説はかつてなかったでしょう。ドストエフスキーは図らずも、ロシア風の社交性を持ったゴッホを書いたようです。