Hideの本とエッセイと詩のブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「杜甫ノート」吉川幸次郎 新潮文庫

「詩聖」と呼ばれる杜甫の名詩群をさらに厳選して、解説を加えた書物です。著者の吉川幸次郎は、中国の古典中、冠絶した二著として「論語」と「杜甫詩集」を挙げています。杜甫の詩が日本文化に与えた影響は、白楽天には及びませんが、芭蕉は奥の細道の旅で杜甫の「杜工部集」を懐に忍ばせています。それから得られたのが「夏草やつはものどもが夢の跡」の句です。杜甫の晩年の詩には、現代人の不安な心に直接通ずるものがあります。生存の変わることのない実存的な不安は、杜甫の鋭敏極まる目を免れてはいませんでした。。現代の実存的な場さえ予見していたと言っていいでしょう。古今を絶した聖なる詩人です。