Hideの本とエッセイと詩のブログ

おすすめ本や自作詩、エッセイなどを載せていきたいと思っています。

「折々のうた」大岡信 岩波新書

著者のライフワークです。朝日新聞の第一面にコラムとして、長年月に渡って一時的な中断はありながらも、毎朝掲載されました。海外、特にヨーロッパでは、日本には大新聞の一面に文芸批評が載っているとして、驚きの目で見られました。日本の短詩型の文学によく合致した小さなスペースに収まる文芸批評です。俳句や短歌などの作品を取り上げ、それに著者の短評を加えるのですが、著者自らが、その短評の字数を決めるという手法で、仕事を進行し続けました。著者は連歌、連詩にも深い造詣を持っていて、短評を書く仕事より、次はどの作品を選ぶかの方が時間がかかり、難しかったと述懐しています。こうして、現代詩人、評論家による見事な短評のついた短詩型文学による膨大なアンソロジーの織物が出来上がりました。読者はどのシリーズのどの巻から読み始めてもよいでしょう。どの巻にも、充実した緊張感のある文学精神が宿っています。